革にマーキングをする際には、革ものをつくる人にとって定番とも言える「銀ペン」を使います。銀色のインクが革の表面にくっきりと浮かび上がり、裁断線や縫い線を正確に示してくれるため、作業の効率と精度を高めてくれる、なくてはならない道具のひとつです。しかも、作業後には比較的簡単に消すことができるため、仕上がりを損なわない点も大きな魅力です。革に向き合う日々の中で、銀ペンは自然と手が伸びる存在になっています。
しかし、生地に裁断線を書く場合となると、話は少し変わってきます。布の種類によっては、銀ペンでは線がうまく乗らなかったり、かすれてしまったりすることがあります。特に、起毛素材や凹凸のある生地では、ペン先が引っかかってしまい、思うように線を引けないことも少なくありません。そのため、洋裁の世界では、一般的にチャコペンやチャコパウダーといった専用の道具が使われることが多いのでしょう。
とはいえ、私自身は、そこまで本格的な洋裁道具を一式そろえているわけではなく、手近にあった赤青鉛筆を使っています。赤と青、二色の芯を持つこの鉛筆は、用途に応じて色を使い分けられるため、意外と重宝します。濃い色の生地には青、淡い色の生地には赤、といった具合に、視認性を考えながら使い分けることで、裁断線を見失うことなく作業を進めることができます。シンプルですが、実用性は十分で、長年にわたって頼りにしている相棒のような存在です。
ところが、この赤青鉛筆、使っているうちに思いのほか減りが早いのです。生地に線を引く際には、比較的しっかりとした筆圧で描くことが多く、その分、芯の消耗も激しくなります。気がつけば、あっという間に短くなり、頻繁に削らなければならなくなります。そこで活躍するのが、鉛筆削りです。
以前は、ごく普通の手動の鉛筆削りを使っていましたが、削る回数が増えるにつれ、「もう少し効率の良いものはないだろうか」と思うようになりました。そんな折に見つけたのが、「2倍速く削れる」とうたわれた鉛筆削りです。正直なところ、最初は半信半疑でしたが、商品説明を読むと、削り刃が2枚ついており、その構造によって一度の回転で通常の倍の量を削れる仕組みになっているとのこと。なるほど、理屈としては納得です。
実際に使ってみると、その違いははっきりと体感できました。数回ハンドルを回すだけで、するすると芯が尖り、あっという間に使用可能な状態になります。頻繁に削る必要がある作業環境では、このわずかな時短が積み重なり、結果として大きな効率向上につながります。調味料入れのような、どこかユーモラスで愛嬌のあるデザインも気に入っており、作業台の上に置いておくだけで、ちょっとしたアクセントになります。実用性と遊び心が程よく同居した、なかなか面白いアイテムです。
そして、忘れてはならないのが、鉛筆ホルダーの存在です。赤青鉛筆は、短くなってくると非常に持ちにくくなり、作業性が一気に落ちてしまいます。そんな時に活躍するのが、鉛筆ホルダー。短くなった鉛筆をしっかりと固定し、最後まで無駄なく使い切ることができます。しかし、この鉛筆ホルダー、昨今ではなかなか見つけにくくなっており、文具店を何軒も回って、ようやく手に入れることも珍しくありません。だからこそ、手元にある一本は、とても貴重な存在です。
こうして振り返ってみると、日々の作業は、決して派手ではない小さな道具たちに支えられていることを、改めて実感します。銀ペン、赤青鉛筆、鉛筆削り、鉛筆ホルダー。そのひとつひとつは、ごく当たり前の存在ですが、欠けてしまうと、作業の流れが途端に滞ってしまいます。ものづくりとは、こうした細部への気配りの積み重ねなのだと、改めて感じさせられる日常の一コマでした。

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