自転車のハンドルを新しいものに交換したら、やはり気になってくるのがハンドル周りの仕上がりです。せっかく形やポジションにこだわってハンドルを変えたのですから、見た目や握り心地にも納得のいく形に整えたい、という気持ちが自然と湧いてきます。そこで次に考えたのが、ハンドルカバーをどうするか、という問題でした。市販のバーテープやグリップも選択肢としては十分にありますが、ここはひとまず、革を扱っている者として、ハンドルカバーにはやはり革を使いたいところです。
革という素材は、見た目の質感だけでなく、使い込むほどに手に馴染み、経年変化を楽しめるという点で、自転車のカスタムとも相性が良いと感じています。特にハンドルのように、常に手が触れる部分であれば、その魅力はなおさらです。最初は少し硬さを感じても、使ううちに柔らかくなり、自分の手の形に沿うように変化していく。その過程を楽しめるのは、革ならではの醍醐味だと思います。
今回のハンドルは黒色だったため、必然的に革も黒系、というか、ほぼ迷うことなく黒を選びました。本当は、茶系の革を使って、少しクラシカルで温かみのある雰囲気に仕上げたい気持ちもありました。しかし、全体のバランスや統一感を考えると、やはりここは黒でまとめたほうが無難だろう、という判断に落ち着きました。結果的に、全体が引き締まり、シックで落ち着いた印象になったように思います。
実際に巻き付けてみると、見た目の高級感は、想像以上に増したと感じました。金属や樹脂だけでは出せない、革特有のしっとりとした質感が加わることで、ハンドル周りの雰囲気が一段と格上げされたように見えます。ぱっと見では大きな変化に見えないかもしれませんが、細部に目を向けると、その違いは確かに存在しています。
ただし、今回のカバーは、ステッチも同じく黒で仕上げたため、正直なところ、言われないと革製であることすら分からないかもしれません。さらに言えば、言われてじっくりと見ても、「ああ、確かにそうかも」という程度で、はっきりと認識できない可能性もあります。もう少しコントラストのある糸色を使えば、手仕事のニュアンスが強調され、より分かりやすい仕上がりになったかもしれません。
それでも、あえてこの控えめな仕上げを選んだのには理由があります。そもそも、今回の自転車カスタム全体のテーマは、「地味カスタム」。派手さや分かりやすい変化を狙うのではなく、あくまでさりげなく、気づく人だけが気づくような改良を積み重ねていくことを目標としています。ぱっと見で「変わった!」と分かるよりも、乗るたびに「なんとなくいい」「しっくりくる」と感じられることのほうが、長く付き合う上では大切だと思うのです。
実際、手に取って握ってみると、革ならではのしっとりとした感触があり、素手でもグローブ越しでも、しっかりとした安心感があります。滑りにくく、適度なクッション性もあり、長時間のライドでも手の疲れを軽減してくれそうです。こうした実用面でのメリットも、見た目以上に大きなポイントだと感じています。
結局のところ、今回のハンドルカバーは、自己満足の要素がかなり強いカスタムかもしれません。しかし、その「自己満足」こそが、ものづくりやカスタムの楽しさの核心なのではないでしょうか。誰に褒められなくても、自分が納得できること、自分の感覚にフィットすること。それが、日々の移動やライドの時間を、少しだけ特別なものに変えてくれます。
これからも、派手さとは無縁の、地味で静かなカスタムを重ねながら、自分だけの一台を少しずつ育てていきたいと思います。気づく人はほとんどいないかもしれませんが、それでいいのです。自分の中で「いい」と思える、その感覚を大切にしながら。

コメントを残す