しばらくのあいだ、決断を躊躇しておりましたが、ついに満を持してApple Musicを始めることにしました。ここに至るまでには、それなりに長い葛藤と検討の時間があり、正直なところ「今さら感」も少なからずあります。周囲を見渡せば、すでに多くの人がサブスクリプション型の音楽配信サービスを当たり前のように使いこなし、新譜から懐かしの名盤まで、自由自在に楽しんでいます。そんな光景を横目に見つつも、なかなか一歩を踏み出せずにいた、というのが本音です。
というのも、Apple Musicに関しては、「ライブラリがごちゃつく」という噂を耳にしていたことや、Spotifyなどの類似サービスとの比較、さらには退会時に自分の音楽データがどうなるのか、といった点が気になり、どうしても二の足を踏んでしまっていました。もともと自分の中に、長年かけて少しずつ集めてきた音楽ライブラリがあり、それなりに整理もされているため、そこに新たな仕組みを無理やり組み込むことで、混乱が生じるのではないかという不安が大きかったのです。
それでも、周りの音楽好きの方々の話を聞くうちに、次第に考えが変わってきました。「新しい音楽との出会いが格段に増えた」「昔聴いていたアルバムを気軽に掘り起こせる」「レコメンド機能が意外と優秀」といった声を耳にするたびに、便利さや楽しさが具体的に想像できるようになり、「遅まきながら、そろそろ始め時なのではないか」と思い始めたわけです。音楽との付き合い方も、時代とともに変化していくもの。いつまでも過去のスタイルに固執するより、新しい形を取り入れてみるのも悪くない、と考えるようになりました。
とはいえ、いきなりApple Musicに飛び込むのは少し不安だったため、まずはSpotifyを試してみることにしました。ネット上では、「もともと持っている音楽ライブラリと、Spotify側の音楽データをシームレスに使える」といった情報を目にしており、それが事実であれば、自分の環境にも比較的スムーズに導入できそうだと感じたからです。既存の音楽データと、ストリーミングで聴ける膨大な楽曲群を、違和感なく一元管理できるのであれば、理想的な形だと言えるでしょう。
しかし、実際に使ってみると、その期待はあっさりと裏切られることになりました。確かに、Spotifyのアプリ上から既存の音楽データを読み込むことはできます。ただし、それはあくまで「読み込める」というだけで、参照・閲覧できるというレベルにとどまります。操作感としては、まるで別の棚に置かれた音源を、横目で眺めているような感覚で、決して一体化しているとは言えません。
さらに問題だったのは、同じアーティストであっても、Spotifyからの音楽と、手持ちのライブラリ内の音楽が、完全に別々に管理されてしまう点です。アーティスト一覧を開くと、同一人物なのに、Spotify版とローカルデータ版が別項目として並び、アルバムも分断された状態になります。これは、個人的にはかなり致命的でした。長年かけて集め、整理してきた音楽データが、まるで無視されているかのような扱いを受けることに、どうしても納得がいかなかったのです。
すでにそこそこの量がある音楽データを、うまく活用できない仕組みは、正直なところ受け入れ難いものでした。音楽配信サービスは「持たない時代」の象徴かもしれませんが、それでも、これまで積み重ねてきた自分のライブラリを切り捨てるような形にはしたくありません。むしろ、それらを土台にしつつ、新しい音楽と出会える環境であってほしい。そう考えると、Spotifyの仕様は、自分の理想とは少しずれているように感じました。
こうした経緯を経て、改めてApple Musicに目を向けることになります。Apple Musicは、もともとiTunesとの親和性が高く、手持ちの音楽ライブラリとの統合が比較的スムーズだと聞いていました。その点に大きな期待を抱き、「それならば」と、ついに導入を決意したのです。
しかし、Apple MusicはApple Musicで、また別の「受け入れ難い点」が立ちはだかることになるのでした。期待が大きかったぶん、その違和感もまた、なかなかに強烈で……。
そのあたりの話は、長くなりそうなので、また次回に。

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