シンワ

ものづくりをしていると、どうしても避けて通れないのが怪我です。どれほど注意していても、刃物や針、金属の角、回転する機械など、危険と隣り合わせの環境で作業をしている以上、いつかは「その瞬間」が訪れます。とはいえ、年明け早々にそれがやって来るとは、正直なところ思ってもいませんでした。

ある日の作業中、ほんの一瞬の気の緩みから、指をすぴっと漉いてしまいました。いつも通りの手順、いつも通りの流れの中で、ほんのわずかなズレが生んだ失態です。これまでにも小さな擦り傷や針先が刺さる程度のことはありましたが、今回のように、明らかに「切ってしまった」と自覚できる感触は、初めての種類のものでした。刃が指に触れた瞬間の、あの独特の感覚と、次の瞬間に溢れ出す血潮。その光景に、軽いショックを受けると同時に、背筋がひやりと冷えるのを感じました。

血は思いのほか勢いよく流れ、しばらく止まる気配を見せませんでした。慌ててティッシュやウエスで押さえながら、「年の初めから何をやっているんだろう」と、自嘲気味に苦笑してしまいましたが、内心では少なからず動揺していたと思います。幸いにも深刻な怪我には至らず、適切な処置を施すことで事なきを得ましたが、新年早々のアクシデントとしては、なかなか印象に残る出来事となりました。

さて、そんな作業環境の中で、日常的に欠かせない道具のひとつが、いわゆる「直尺」と呼ばれる金属製の定規です。木工や洋裁、革細工など、ジャンルを問わず、ものづくりの現場では必需品と言える存在でしょう。中でも、15センチほどの短い直尺は、ちょっとした寸法を測る際に非常に重宝します。大きな定規を取り出すほどでもない場面で、さっと手に取れて、正確に測れる。この手軽さが、使用頻度の高さにつながっているのだと思います。

作業台の上はもちろんのこと、ミシンの横、漉き機の横、さらには裁断台の近くなど、気づけばあちこちに直尺が常備されている状態になっていました。いちいち取りに行く手間を省くため、作業動線上に配置しているうちに、その数は増えていき、数えてみると、いつの間にか五本以上にもなっていたのです。しかも、それぞれメーカーは不揃いで、購入した時期や場所もまちまち。統一感などまるでなく、まさに寄せ集めといった風情です。

そんな中で、個人的に使いやすいと感じているのが、「シンワ」製の直尺です。数あるメーカーの中でも、このブランドの製品は、細部にまで配慮が行き届いており、実際の作業において非常にストレスが少ないと感じます。とりわけ気に入っているのが、メモリ数字の上側が1ミリ単位で細かく刻まれている点です。一般的な直尺では、数字の下側に目盛りが配置されていることが多いのですが、作業姿勢や光の当たり方によっては、数字が見えづらくなることがあります。その点、「シンワ」製の直尺は、視認性が高く、弱り目の私にとっては、実にありがたい設計なのです。

わずかな違いのようでいて、この「見やすさ」は、作業効率に直結します。寸法を読み間違えることが減り、無駄なやり直しも少なくなります。結果として、集中力が途切れにくくなり、作業全体の質も向上する。道具ひとつで、これほどまでに作業体験が変わるのだと、改めて実感させられます。

今回の怪我をきっかけに、作業環境や道具の配置、使い方について、もう一度見直してみようという気持ちが強くなりました。慣れから生じる油断こそが、最大の敵であり、それを防ぐためには、道具選びや環境づくりが何より重要です。新年の始まりに味わったこの小さなアクシデントを、単なる不運で終わらせるのではなく、今後の安全で快適なものづくりへとつなげていきたい。そんな思いを胸に、今日もまた、作業台に向かっています。

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